fbpx

EP手続きにおける出願者の加速可能性

概要

 

EP直接出願およびPCT-EP移行段階で使用可能:

  • PACE 「欧州特許出願早期処理プログラム」
  • PPH 「特許審査ハイウェイ」
  • EPC規則第70条に基づく通知受領の放棄

 

PCT-EP移行段階でのみ利用可能:

  • 即時処理/早期開始(PCT第23条(2)又は第40条(2))
  • EPC規則第161/162条に基づく通知受領の放棄

 

解説

 

PACEプログラム(2つの申請が可能、それぞれ庁手数料はなし)

  • 加速調査の申請
    この申請は、欧州特許庁(EPO)がそれまでに調査報告書(EESR)を作成していない場合に限り、最短で出願から6ヶ月後に行うことができます。出願人がこの加速調査を希望した場合、当事務所は、6ヶ月の経過を監視しその間にEESRを受理しなかった場合に、申請を行います。
  • 加速審査の申請
    この申請は、早くとも実際の(実質的)審査に入るとき、あるいはその後、審査中のいつでも行うことができます。出願人がこの加速審査を希望した場合、当事務所は、審査の適切な段階で請求を行います。注意:PACE申請後、出願人による遅延(例:通知に対する応答の期限延期請求)があった場合、その出願はPACEプログラムから外れ、新たにPACE申請を行うことはできません。

 

PPH

「特許審査ハイウェイ」は、EP出願の特許ファミリー(例:優先出願または他国での並行出願)が既に付与可能または付与された請求項を有する場合に、出願人の申請により(庁手数料なしで)審査を加速させることができるものです。条件はその特許ファミリーを扱う特許庁がPPHプログラムに参加していることです。参加国の中で、最も重要な国・拠点は、欧州特許庁(EP)、ドイツ(DE)、日本(JP)、米国(US)、中国(CN)および韓国(KR)です。PPH出願は、PCTのポジティブな通知に基づいて申請することもできます。

  • メリット:EPOが独自の追加調査の過程で関連する先行技術をこれ以上発見しなかった場合、PPHは非常に効果的に早期付与をもたらす可能性があります。ただし、EPOは他庁の審査結果に拘束されず、独自の拒絶理由を挙げることができます。
  • デメリット:EPOは、PPH申請に示されたクレームに基づいて審査します。すなわち、これらの付与可能または付与されたクレームに含まれる制限は場合によっては再び除去することができません。また、EPOによる不明確を理由とする拒絶により、さらなるクレームの補正が必要となる場合があります。

注意:PPHプログラムに参加した場合は、PACEの申請はできません。

即時処理/早期開始
EP段階移行に適用される31ヶ月の期間経過前にEPOに提出されたPCT-EP出願に適用できます。この申請により、EPOは31ヶ月の期間満了を待たずに(PCT第23条(1)または第40条(1)参照)、遅滞なく処理を開始します。当事務所では、この申請をしてはならないという明らかな指示を出願人から受けない限り、この申請を標準的に行います(庁手数料なし。出願人への費用追加なし)。

EPC規則第161/162条に基づく通知の受領の放棄 (PCT出願において、欧州特許庁(EPO)が国際調査機関(ISA)でなかった場合) 
この通知により、出願人は通知から6ヶ月以内に例えば補正クレームなどの補正書類を自主的に提出する機会が与えられます。この補正書類が、EPOの拡張欧州調査報告書(EESR)の基礎となります。この放棄は、通知とそれに伴う最長6ヶ月の遅延を発生させない効果があります。

  • メリット:最長6ヶ月の手続き遅延がないこと。
  • デメリット:先の国際調査報告書(ISR)で既に指摘された拒絶理由を解消するように、手続きの早い段階で出願書類(特にクレーム)を補正できる、という可能性を失います。EESRは、PCTのEP移行時に提出された書類/クレームに基づき作成されます。

EPC規則第70条に基づく通知の受領の放棄
EESRが作成される前に審査手数料が支払われている出願については、EPOは、EESRの後、EPC規則第70条に基づく通知により、出願手続きの継続を希望するかどうかを6ヶ月以内に示すように出願人に求め、その後の実体審査の基礎となる出願書類(特にクレーム)を補正する機会を出願人に与えます。この通知受領の放棄は、通知とそれに伴う最長6ヶ月の遅延を発生させない効果があります。

  • メリット:最長6ヶ月の手続き遅延がないこと。
  • デメリット:先のEESRで既に提起された拒絶理由を解消するように、実体審査の前に、出願書類(特にクレーム)を補正できる、という可能性を失います。EPC規則第70条に基づく通知がない場合、EPOはEPC第94条(3)に基づく実体審査の通知を直ちに発行します。その結果、出願人が出願を放棄または取り下げた場合、審査手数料はもはや返還されません。

法律上の注意事項
この簡単な情報は、具体的な案件での弁理士による鑑定/アドバイスに代わるものではありません。この一般的情報のみに基づく当事務所の責任は免除されます。一般的なご質問または個々のケースに関しては、どうぞお気軽にお問合せください。

 

« 戻る